2024.10.14

全日本トラック2024

Report

次の4年を見据えて

9月6日から4日間に渡って開催された全日本選手権トラックレース(@伊豆ベロドローム)。パリ五輪を終えたタイミングという事で、短距離種目、中長距離種目共に、主力選手が主戦レースに出場しないケースも多く、ファン目線としては少し寂しい一面もありましたが、佐藤水菜選手の中長距離への挑戦や、各種目における若手選手の起用などの新たな動向も見られ、日本のトラックシーンは4年後のロス大会に向けて、一旦フラットな目線を取り戻すことによって様々な可能性を探っているように感じました。

大会3日目に開催されたオムニアム。今年もTEAM BRIDGESTONE Cyclingの選手を中心にレースが展開され、スクラッチ/テンポ/エリミネーション/ポイントレースの全4種目を圧巻の走りで駆け抜け、完全優勝を遂げたのが同チームの兒島直樹選手でした。着実に力をつけ続けながらも、パリ五輪の選考では最も悔しい思いをした選手の一人と言っても過言ではない兒島選手。優勝インタビューで本人が語った通り、4年後を見据えた気迫の走りで、目の肥えたスタンドを沸かせました。また、2位に入った山本哲央選手の活躍についても少し書き記しておきましょう。現地観戦した5月のジャパントラックカップでの強さが非常に印象的だった山本選手。直後のロードレース-Tour of Japanでも2人逃げを決めるなど、世間的にもその好走に注目が集まりました。しかし後のステージでの怪我により戦線離脱——手術を余儀なくされます。今大会は復帰後の山本選手が後半戦をどのように走るのかという点も一つのポイントでした。しかしながら、山本選手はそんな心配もよそに好調をキープ。当オムニアムでもスクラッチ/テンポ/エリミネーションで兒島選手に次ぐ2着に入り続け、最終種目のポイントレースも上手くまとめ、最終順位2位という好成績でレースを終えています。これまではロードのイメージが強い山本選手ですが、彼もまた4年後にどのような選手になっているのか楽しみな存在です。

text and photography : Daisuke Fukai / INEIVE